一元流鍼灸術

一元流鍼灸術の解説◇東洋医学の蘊奥など◇HP:http://www.1gen.jp/


一元流鍼灸術の門において書かれていることは、鍼灸と東洋医学的な身体観のもっとも基本的な型です。型というのは、それを理解するに常識を研ぎ澄ますこと、自分自身をしっかりと見つめなおすこと、で充分できるようなものであることを意味しています。そしてこの型は、それをもって世界を理解し、それを東洋医学の観点から理解し、対応することのできるものです。一元流鍼灸術はそのように作ってあるということです。

これがいわば「常」の観点。応用自在な初発の観点であり、迷ったときに戻り再度考えを構築していく原点となる場所です。


そして治療においては、患者さんの身体を一元の気として把握し、その患者さんの気の動きを調整するためには、患者さんの気に依存するという姿勢をとります。これはすなわち、患者さんの気を動かしたり補ったりする際に術者の気を用いない。感応を用いないという立ち位置をとるということを意味しています。

ここには、治療処置と患者さんの気の動きとの間に、術者の気や、患者さんと術者との感応を極力排することによって、技術としての鍼灸術を磨いていこうという発想があります。そこにおいて立ち上げられた論理は、気功的な能力や微細な技術を極力排除した論理となります。ここに一元流鍼灸術の立ち位置が存在します。ここに学ぶ個人個人が、技術や人間力を磨いてその技量や感応力をそこに加えるなら、さらなる治療効果をあげられるように配慮しているわけです。

このような基礎的な学の構築を、一元流鍼灸術は目指しています。これが此岸の学としての鍼灸術となっていくことでしょう。


さて、一元流鍼灸術ゼミナールは、サブコースを設けています。これはいわば、基礎学としての一元流鍼灸術、入り口であり迷ったときの帰還場処であるホームポジションとしての一元流鍼灸術の此岸から、各術者が彼岸へと船出していくことを助けようという意図が実はあります。基本を押さえた上で、しずしずとゆるやかに、その力量に応じて更なる独自の個性を治療の場で発揮できるよう、応援しようとしているわけです。

各術者は、此岸に停まって、一元流鍼灸術の基礎理念を深めるという選択ももちろんできます。その研究方法もしっかり受け継いでほしいと思います。またさらにそれを応用して、独自の流儀を作る支援をしたいと思っているわけです。いわば此岸を守る料亭の女将から、彼岸への道を提示する水先案内人へと私の務めを変化させようとしているわけです。


孔子は、弟子に死後の世界について聞かれたとき、「我れいまだ生を知らず。いずくんぞ死を知らんや」と答えました。生という此岸のありようが「常」としての知識のおよぶ範囲であり、これは東洋医学においては一元流鍼灸術で提示されていることとなります。私は此岸に停まり、此岸を味わいつくしたいと望んでいます。それはとても深く豊かな体験です。しかしこのゼミで学ぶ方々の中には、ここにとどまることなく独自の世界を劈いていきたいと望まれる方もおられるでしょう。確かな土台の上に独自の彼岸の世界が築けるよう支援することができるならば、私の喜びはこれに勝るものはありません。


このようにして臨床効果がさらに高まり、更なる済世の徒がこのゼミから産まれ出ることを、私はまた祈っているわけです。

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