一元流鍼灸術

一元流鍼灸術の解説◇東洋医学の蘊奥など◇HP:http://www.1gen.jp/

中医学の弁証論治と一元流の弁証論治


以前、2011年1月12日付けで「古典を読むということ 弁証論治を作成するということ」の中で述べましたように、中医学の弁証論治と一元流の弁証論治の違いは、その基本的な発想法にあります。

中医学は証候鑑別診断学に現れているように、数ある証候にその人間を当てはまるものを選択するようにしていきます。そこには、患者さんの身体あるいは眼前の病気をブラックボックスとし、四診を用いてそのブラックボックスから解を引き出そうとするという発想が隠されています。このため、中医学はあたかも百科事典を引くように症状を弁別し証を鑑別していくことが弁証論治の目標となります。

それに対して一元流の弁証論治は、気一元の生命観の下、その人間の生命の流れを主として五臓の関係の変化で記述していこうとします。ここには、現在現れている生命の状態とともにその人間の歴史といったものをも記述し、その生命の流れの中で疾病が起こってくる原因を探っていこうという姿勢があります。そのため、治療技術は病気に対応する解ではなく、症状を出すまでに気の濃淡の強くなった生命のバランスを立て直すにはどうすればよいか、という実践の集積となります。


中医学を奉じる北辰会の藤本氏は弁証を「この医学としての「病」分析であり、それに基づいて治療を導き出す前提である」〈上下左右前後の法則:序〉と語っていますが、一元流鍼灸術では生命の弁証論治と名付けているのは、このような違いがあるため、それを明確にしているわけです。
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鍼灸古典図書
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ここには、基本的な古典の書籍が揃っています。
けれども量も多く、読みにくい書物ばかりなので、
いちおうとっかかりが必要かなということで、
簡単に記載しておこうと思います。

必須なのは「日本医学史:富士川游」です。歴史ある医学を学ぶわ
けですからどうしてもその歴史の大枠をつかんでおくべきです。そ
れによっていつの時代にどの程度のことがあったのかといったこと
が把握できます。この書物は明治時代に書かれたものです。大部で
すが比較的読みやすく、日本医学史としては現代に至るまで基本著
作ということになります。けれども古本屋さんでしか手に入りませ
ん。これを通読しておきましょう。

鍼灸というだけでなく東洋医学の古典というと『素問』『霊枢』と
いうことになりますが、これを項目別にまとめなおしたものが『類
経:張景岳』です。ここに掲載してあるものは江戸時代の日本で刊
行された版ですので、漢文だけではなく返り点送りがながついて読
みやすくなっています。『類経』は『素問』『霊枢』の解釈もそこ
に掲載されており、その解釈の良さには定評があります。この最後
の方には『類経図翼』と『類経附翼』があり、医易を考えていくた
めには基本的な文章がここには掲載されています。

医学総合の所の『景岳全書』は、同じ張景岳の著書です。人間観や
治療概念などがバランスよく治療法が掲載されています。具体的な
治療法についても湯液を中心として掲載されています。現代中医学
でも一目置かれている貴重な書物です。この『景岳全書』は、鍼灸
古典図書の頁では『景岳全書:疾病論:張景岳』『景岳全書:本草
篇:張景岳』として上下に分けて掲載しています。

後は興味の方向に従って目次をにらみながら読んでいけばよろしい
かと思います。

字句に拘わり方向性を見失ったときには、再度『一元流鍼灸術の
門』の総論に戻ってきて下さい。読みの深さが変化していることで
しょう。

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