一元流鍼灸術

一元流鍼灸術の解説◇東洋医学の蘊奥など◇HP:http://www.1gen.jp/

味岡三伯というのは、味岡の四傑を育てた人で三代続いた医学講習所の代表者の名前です。味岡の四傑というのは、小川朔庵・浅井周璞・井原道閲・岡本一抱の四人です。『鍼灸真髄』の中で沢田健によって絶賛されている『難経鉄鑑』を書いた広岡蘇仙はこの井原道閲から直接『難経』を教授されています。岡本一抱の『医学三蔵弁解』で描かれている三焦論が、六六難の図の原点であると考えることができます。

いわばそれまでの朱子学的な陰陽五行論を、陽明学的な気一元の生命観に基づいた陰陽五行論へと変容させた、中心グループであると私は考ています。


初代味岡三伯(1628~1661)は曲直瀬道三流の医学を饗庭東庵から学び、京都で開業し大いに繁栄していたということです。けれども33歳の時、妻の実家である筑前藩(太宰府を擁する地域で現在の福岡県西部)を訪れている時に突然客死してしまいました。その頃その妻は妊娠中で、三ヶ月後に出産しています。(『貝原益軒』井上忠著69p)この初代味岡三伯の子が貝原益軒の大量の著作を浄書するなどして支えていた竹田春庵(1661-1745)です。貝原益軒の大量の出版を縁の下で支えていたのが味岡三伯の実の息子であり、大量の医学諺解書などを出版した岡本一抱子の師が二代目味岡三伯であるということは、とても興味深いことです。双方ともに当時湧き起こった書籍出版の大波に乗った人であり、医師でした。


当時の筑前の三代目の藩主(黒田光之1628~1654~1707)の生母はまた、初代味岡三伯の従兄妹でもありました。この黒田光之は貝原益軒(1630~1714)を重用したことでも有名です。貝原益軒も始めて京都を訪れた時には初代味岡三伯の下を訪れています。奇縁と言わなければなりません。

初代味岡三伯の死後、どのような経緯か定かではありませんが、味岡三伯を襲名した二代目がいます。上にも述べまた味岡の四傑を育てたのはどうやらこの二代目です。京都には味岡三伯の師匠筋にあたる曲直瀬道三系列の啓廸院も医学講習所としてありましたから、それと張り合うような形で医学講習所を経営していたことになります。

この二代目味岡三伯は1726年に死去します。1732年に青森から京都に出てきた安藤昌益(1603~1762)は、三代目味岡三伯に師事しています。(安藤昌益資料館http://www.npo-cross.jp/shoeki/nenpyou-contents.htmlによる2016/03/24)

また本居宣長(1730~1801)は、味岡の四傑の小川朔庵の弟子堀元厚(1686~1754)の晩年、亡くなるまでの一年間だけその塾に入門していました。
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熊沢蕃山:芸術大意遺編


ひょんなことから、熊沢蕃山の「芸術大意遺編」のことを知り、鍼灸という芸術を探究していくためにとても役に立つと思い、翻訳することにしました。ここでいう芸術とは、技術とその背景にある思想というほどの意味です。

江戸時代の士太夫である武士が修めるべき学問には、文武両道がありました。文の心の位置である徳は、仁です。武の心の位置である徳は、義です。徳というのは、心の根の質というほどの意味です。仁義の心を基本に持ち、諸々の芸術を修めなさい。そうすれば道のなんたるかも見えてくることでしょう。そう蕃山は語っています。

芸術というのは、道と呼ばれるまでに高め深められる、前の段階の技術のことを言います。蕃山は、弓馬書数礼楽詩歌という古代の芸術を通じて仁義の徳を修め、士大夫としての道を歩めと、この文章全体で人々を励ましてくれているわけです。


ー元流鍼灸術の裏テキストでは、本当に見るということはどういうことか、学ぶとは、施術とはと、心のあり方まで含めて詳細に解説されています。その心の位置、学術を深化させていく姿勢―バランスのとり方について、この書から学ぶことのできることがたくさんあります。


読み、学び、気付き、道を歩む、その第一歩をもう一度ていねいに踏み出していくきっかけになると嬉しく思います。

原文の段落の取り方は、原意とは異るように読めます。そこで段落を新たに作りなおし、大きな文章の括りを設けて、私が標題を付しました。目次として、冒頭に掲げておきます。熊沢蕃山先生の意がより明らかになっていると思います。異論があればご教示いただけるとありがたく思います。


■目次
芸術を学び道義を養う
神気を定め不動の念で学ぶ
剣術考
術の鍛錬
無物の理
無物の心は無敵
大道に学ぶ
自身の本体を知る
情欲を制す
おわりに
由来



以下のファイルです。別画面にPDFファイルで開かれます。

http://1gen.jp/1GEN/banzan-geijutu.pdf熊沢蕃山:芸術大意遺編

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