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一元流鍼灸術

一元流鍼灸術の解説◇東洋医学の蘊奥など◇HP:http://www.1gen.jp/


..目的


現政権の正当性を担保すること
また、将来的に権力奪取できるという予言的保証をすること


..方法

古の聖人である孔子が書いたとされる歴史書、春秋を解釈することによって、現政権の正当性を証明する。また、未来を予測し政権交代(革命)をも視野に入れた工作活動を行うための理論的基礎を作成する。

このために、春秋の解釈を変え、時にはその文言も変えて、意味づけをしていった。この解釈書が緯書であり、予言が讖。奇瑞をおこしたり、市中に護符を蒔くこともした。符呪。


..歴史


政権交代の発想は戦国時代末の鄒衍の五徳終始説に淵源を持つ。これは黄帝内経における相生相剋理論にあたる。

また、孔子が書き、漢帝国の成立を予測していたとされる春秋は、実際には讖緯説を奉じる儒者によって都合よく書き換えられていった。それによって官僚として政権内部に食い込み、黄老家を排除した。

前漢末から後漢に入ると、廷内の権力闘争に儒者は勝利を収めるに至った。

孔子を祖とする宗教としての儒教の陰の部分であるとも言える。

この讖緯説は、朱子によって完成された宋代の儒学が権力を得るまで続いた。


..古典を奉じ今を断ずることを批判する


古典を聖なる書物として無批判に奉じ、現在を断ずる傾向が学問においても医学においてもあるが、その原点がこの讖緯説であると考える。

ただ、政権抗争とは異なり医学においては真実を探求しつづけなければ治療効果があがらなくなるという状況があるため、讖緯説の滲透は浅いものであった。

しかし、五行の相生相剋を信じてそこから治療法を発想するとか、古典をまとめたにすぎない中医学を信じて、現状を強引に証候鑑別してにあてはめ治方を探すといった、パターン化された方法論は、絶えることなく現代も継続している。これは学問をする者たちの持つ癖なのであろう。

これに対して、殷代に起源を発し周代に理論化されていった黄老道は、宇宙の真実に耳を傾け言葉を紡ぎ出していくという原点に立ち続けた。王の言葉を書き留め、天文との関係性を探った瞽史たちは、言葉を語ることよりもまず見ることに重きを置いたわけである。彼らが陰陽五行を生み出したのは、陰陽五行で考えれば物事が解決するからではなく、一つのものをそのように構造的に考えていくことによって、物事が明瞭にみえてくるからである。

古典を基にその解釈を練っていく讖緯説とはその方向性が真逆であると言える。
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