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一元流鍼灸術

一元流鍼灸術の解説◇東洋医学の蘊奥など◇HP:http://www.1gen.jp/

大学時代の友に聞いた「おまえは何故詩を書くのを止めたんだ。おもしろかったのに」と。
友は答えた。「おれは書き物に興味がある訳じゃないんだ。俺が本当に興味があったのは詩人の魂なんだよ。詩が湧き出てくるその泉の根源に触れたかったんだ。書かれた言葉や作られた造形の美しさには興味がない。そこにある触れれば命が輝きでて止まないそのみずみずしい心に触れたかった。だから俺は詩を書いていた。」

私は聞いた「じゃ、何故止めたの?」

「だって、書くということは作るということに近くて、その感じる根源から少し離れるんだよな。俺はそこに至った。そして俺はその根源の場所にいたいだけなんだ。だからもう言葉はいらない。それについて語り出すことがそもそも、その場所から少し離れることだから。もう書く必要はないんだ。」

「おまえはそれを手に入れてその場所にいるってことか?詩人の魂、詩が湧き出て言葉になる以前の場所、そこにおまえはいるということなのか」

「そうだ。誰に対して説明する必要などない。存在とともに踊る歓喜の中心に俺はいる。」

私は証明してくれと、論証してくれと懇願したが彼は頑として受け入れなかった。ただ一言「求め続けろよお前も」といい、手を振って去っていった。

なぜ、証明もなしに彼は根源に触れていると言えるのだろう。傲慢なのではないだろうか。
なぜ、言葉で表現することを拒んだのだろう。表現したものしか聞き取ることはできないのに。

けれども確かに思う。彼こそが本当の詩人なのだと。無言の詩人なのだと。詩人の魂そのものなのだと。
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