五徳終始説というのは、王朝の交替は、その王朝を象徴する色があり、次に
盟主となる王朝はそれと相剋関係にある徳をもったものとなるという考え方
です。
戦国時代の末期に騶衍(すうえん)によって唱えられ、次の王とならんとす
る諸国の君主に大いに受け入れられました。漢代に入ると、相剋関係で受け
継がれるとされていたものが、相生関係で受け継がれるという説に変化し、
王朝交代の歴史を学問的に検討した春秋学の基礎となります。
この学説は『黄帝内経』や『難経』における相生相剋理論の基礎となり、現
代の鍼灸家にも影響を与えています。
ここでよく考えていただきたいことがあります。一つの国家を二五の観点か
らバランスよく見て、そのバランスをとるために陰陽五行の見方は、その国
家をよりバランスよく見ていく上で有效であるとは思います。「一」を、空
間においては中央と四つの方向、時間においては土用と四季がそれです。今
ここに存在している一つのものを、より詳細に見ようとしているといるもの
です。
これを人間に当てはめてみることが天人相応理論の根幹です。そこにはほん
らい相生相剋というものは存在せず、ただあるがままに在るものをより詳し
くバランスよく見ようとする視点が存在しているだけでした。
五行すべてが一人の人を支えている、まるごと一つの人間を五の観点から眺
めているに過ぎない。そして、その弱い部分を補充するように努力すること
によって、その人は今よりも少し充実した生命状態となる、これが治療です。
しかし鄒衍の理論の基本にあるものは、一つの国を五徳のうちの一つにあて
はめるということです。五徳すべてがその強弱はともかく備わっている国を
想定するのではなく。また、まるごと一つの国をよく理解するために五行を
用いているのでもないのです。
現在の国情に五徳のうちの一つのレッテルを貼り、それに打ち勝つ国のレッ
テルを想定する作業を、相剋関係を用いて想定しているわけです。安っぽい
占筮であると言わなければなりません。現在の支配国家に対して打ち勝つよ
うな徳をもつ国を作るようにすることで、次代の支配国家になろうとする。
これは実は、陰陽五行理論の基本である「場の設定」を逸脱した考え方であ
り、実体を持たない観念論であるということが理解できるでしょうか。
鄒衍において、ただ観るということから離れ、言葉がその意味内容を離れて
単なる記号として使用されるようになったとも言えます。相生相剋理論とと
もにこのあたりの観念論は、臨床の場からは排除されなければなりません。
鄒衍は、讖緯説(前漢末期から始まる災異や瑞祥を用いて現在の皇帝の正当
性を主張する神秘思想。これが後の道教の神秘思想の一つとなっている )
の基本的な発想を作り出した学者であるともいえ、春秋学の基礎を作り後の
道教の神秘思想の基本を作ったともまた言えます。我々後学の、排除すべき
思想であると言えるでしょう。
盟主となる王朝はそれと相剋関係にある徳をもったものとなるという考え方
です。
戦国時代の末期に騶衍(すうえん)によって唱えられ、次の王とならんとす
る諸国の君主に大いに受け入れられました。漢代に入ると、相剋関係で受け
継がれるとされていたものが、相生関係で受け継がれるという説に変化し、
王朝交代の歴史を学問的に検討した春秋学の基礎となります。
この学説は『黄帝内経』や『難経』における相生相剋理論の基礎となり、現
代の鍼灸家にも影響を与えています。
ここでよく考えていただきたいことがあります。一つの国家を二五の観点か
らバランスよく見て、そのバランスをとるために陰陽五行の見方は、その国
家をよりバランスよく見ていく上で有效であるとは思います。「一」を、空
間においては中央と四つの方向、時間においては土用と四季がそれです。今
ここに存在している一つのものを、より詳細に見ようとしているといるもの
です。
これを人間に当てはめてみることが天人相応理論の根幹です。そこにはほん
らい相生相剋というものは存在せず、ただあるがままに在るものをより詳し
くバランスよく見ようとする視点が存在しているだけでした。
五行すべてが一人の人を支えている、まるごと一つの人間を五の観点から眺
めているに過ぎない。そして、その弱い部分を補充するように努力すること
によって、その人は今よりも少し充実した生命状態となる、これが治療です。
しかし鄒衍の理論の基本にあるものは、一つの国を五徳のうちの一つにあて
はめるということです。五徳すべてがその強弱はともかく備わっている国を
想定するのではなく。また、まるごと一つの国をよく理解するために五行を
用いているのでもないのです。
現在の国情に五徳のうちの一つのレッテルを貼り、それに打ち勝つ国のレッ
テルを想定する作業を、相剋関係を用いて想定しているわけです。安っぽい
占筮であると言わなければなりません。現在の支配国家に対して打ち勝つよ
うな徳をもつ国を作るようにすることで、次代の支配国家になろうとする。
これは実は、陰陽五行理論の基本である「場の設定」を逸脱した考え方であ
り、実体を持たない観念論であるということが理解できるでしょうか。
鄒衍において、ただ観るということから離れ、言葉がその意味内容を離れて
単なる記号として使用されるようになったとも言えます。相生相剋理論とと
もにこのあたりの観念論は、臨床の場からは排除されなければなりません。
鄒衍は、讖緯説(前漢末期から始まる災異や瑞祥を用いて現在の皇帝の正当
性を主張する神秘思想。これが後の道教の神秘思想の一つとなっている )
の基本的な発想を作り出した学者であるともいえ、春秋学の基礎を作り後の
道教の神秘思想の基本を作ったともまた言えます。我々後学の、排除すべき
思想であると言えるでしょう。
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