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一元流鍼灸術

一元流鍼灸術の解説◇東洋医学の蘊奥など◇HP:http://www.1gen.jp/

『難経』の解説書である『難経鉄鑑』の六十六難は、このような図が掲示されています。行灯の図の経穴への展開と言えます。『鍼灸真髄』において大正の名人鍼灸師である沢田健しに絶賛された六十六難の図です。氏は、毎朝この六十六難に対面し、原気の流行および栄衛の往来を黙って座ってみていれば、身中の一太極を知ることができると述べています。さらには、万象の妙契〔伴注:森羅万象の秩序の背景に隠されている真理〕にまで思い至ることができるであろうとも。

この六十六難の図には何が描かれているのでしょうか。基本的には原穴の意味を表現している図です。原穴には十二ありますので、十二原とも題されています。上段にその十二原穴の名前が配されています。太淵・大陵・太衝・太白・太谿・兌骨(神門)・丘墟・衝陽・陽池・京骨・合谷・腕骨ですね。そして下段にはそれに対応する十二経絡の名前が書かれています。この両者の結びつきについて考察されているわけです。

十二原穴と十二経絡の間には、「原」という文字が一字真ん中に書かれていて、その言葉について解説されています。一つは三焦の尊号という言葉です。三焦を尊んで原という言葉を使っているというわけです。もう一つは三焦がめぐるところの兪という言葉が書かれています。三焦がめぐっている経穴、三焦の気が通っている経穴が原穴であると述べているわけです。原、これは三焦と関連し尊いものであり、原穴はその三焦の生命力の表現なのだと述べているわけです。

十二原穴と十二経絡との間に原という文字が書かれていてその解説がされていると述べました。実はこの図の下にはさらにもう一つ「原」という文字が真ん中に書かれています。この原にも解説が付されています。それは腎間の動気という言葉と、その解説としての、人の生命という言葉、それに十二経脉の根という三つの言葉です。つまり、一番下に書かれている原は、腎間の動気と呼ばれるもののことであり、これは人の生命の大元でありまた十二経脉の根であると述べられているわけです。先ほどの行灯の図を思い浮かべてください。同じことが書かれているということが理解できると思います。人の生命の大元は行灯の図の下焦部分に置かれている灯火であり、六十六難の図ではこれを腎間の動気と呼び原としているわけです。その原気が十二経脈を通じて表面に表れたものが原穴であるとしているわけです。行灯の表面に経穴という名前でその根元的な生命力が輝き出ている、そう書かれているわけです。

さて、この一番下の原と十二原穴を結んで線が描かれ、二つのことが書かれ解説されています。その一つは、三焦は原気の別使という言葉です。三焦は一番下の原すなわち腎間の動気の表現であるというわけです。行灯の図における灯りそのものが三焦であると考えているわけです。そしてもう一つは、三気を通行し五臓六腑を経歴すると書かれています。三気を通行しているということはもちろん三焦の気を通行しているという意味です。そして五臓六腑を経歴しているという言葉の意味は、五臓六腑を経歴して、十二原として表現されているという意味です。腎間の動気という生命力の根源とも言える最も深い位置にあるものが、三焦を通じ五臓六腑を経歴することを通じて十二原穴として表現されていると、そのように述べられているわけです。

六十六難の図はこのように、人身においてもっとも大切なものとして腎間の動気をあげ、その表現として十二原穴を捉えているわけです。行灯の図ではここに華蓋としての肺が描かれていましたが、ここではそれは省略されています。原という言葉の解説だからですね。

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