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一元流鍼灸術

一元流鍼灸術の解説◇東洋医学の蘊奥など◇HP:http://www.1gen.jp/

あるがままに観る

一元流鍼灸術では、あるがままのものをあるがままに観て、あるがままそれを理解しようとします。そのためにこのテキストの第一章で示されたような発想法や、一元流の弁証論治を提供しているわけです。

そこにある生命そのものを丸ごと一つのものとしてみようとする東洋医学では、そこに存在する生命に触れるという謙虚さと、対象を損傷させない用心深さとが要請されます。あるがままにみようとするということは、対象となる生命にそのままそっと触れ「みさせていただく」という姿勢が必要なわけです。

感覚が鈍っていると、よくみえないために思わず力をこめてしまい、それが観ることであると誤解しがちになります。よりよく観ようとしてさらに力を込めていくため、観る対象を損傷し、ありのままにあるものではなく、自身の観ようとする行為によって変容させられた残骸しかみえなくなってしまいます。そこからは、患者さんのありのままの状態を観るということは到底不可能になってしまいます。

観る前に手をできる限り作っておくこと、これは勉強会に際してよく言っていることです。手を作るということは、実際的に手を暖め、安定した感覚にしておくということの他に、上記のような観る心の姿勢をきちんと定めるということがあります。

その上で、実際に観るときには、その手を信頼して、観れる範囲で観ていくわけです。ここに「全てをみたい」などという欲望が入ると、指に力が入り対象を変容させてしまうため、観ることはできなくなります。

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