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一元流鍼灸術

一元流鍼灸術の解説◇東洋医学の蘊奥など◇HP:http://www.1gen.jp/

寸口の脉診


突然宇宙の話を持ち出したので驚かれたかもしれません。けれどもこのことは我々地上に生きる生命体のゆるぎない事実です。ここを踏まえなおかつ今、臨床に向かうということが、責任ある姿勢だと私は思っています。

このように課題としている話のレベルの違いによって、それぞれの世界の次元での真実がある、ということも理解されなければなりません。

前段では、大宇宙の話から人間の話へとその視点を変化させてきましたが、これからするお話は、人間の中にある小宇宙の話です。その中でも今回は、脉を見るということについてお話します。

脉を見るとここで言うとき、紀元100年ころの著作物である『難経』で提唱された寸口の脉診のことを意味しています。臍下丹田を中心とした気一元の生命が人間の姿です。その気一元の生命が集約して現れている場所が診断点―診処(みどころ)と呼ばれている場所です。寸口の脉診はそのような診処のうちの一つです。ちなみに診断点とされているものは他に、顔面、腹、手掌、足底、耳、舌、目などがあり、それぞれその部位に特徴的な現れ方があります。


脉診は実際には、橈骨動脈の肺経上の橈骨茎状突起の頂点にある経穴「経渠」の一点を関上とし、そこから「列缺」方向一寸を尺中、反対に腕関節横紋上の「太淵」方向九分を寸口としてその部位の浮位から沈位までの脉を見ます。詳細な脉の見方はこの文章の目的ではないので省略します。橈骨の手掌面の動脈の位置や搏動の仕方に全身の状態の縮図を見ようとしているということだけ、おさえておいてください。

診処とはその部位を、気一元の生命として見ているということを意味しています。だからこそ、全身の生命の縮図として診ていくことができるわけです。

さて、生命をどのように捉えるのか、という視点の置き方で見ることのできる脉は変化します。
脉状が浮いているか沈んでいるかに着目しているとそれが見えてきます。
浮沈の脉力の差に着目しているとそれが見えてきます。
左右の脉力の差を見ているとそれが見えてきます。
全体の脉状に着目しているとそれが見えてきます。
六部定位の位置を定めてその脉力の差に着目しているとそれが見えてきます。
六部定位の位置を定めてその脉状の差に着目してるとそれが見えてきます。
六部定位の位置を定めてその脉状の堅さに着目しているとそれが見えてきます。

寸口の脉診とひとことでいいますけれども、このように着目する視点の置き方で見え方がだいぶ変化するものなのです。人は見たいものを見、評価したいものを評価します。さまざまな見方がある中で、それぞれの術者がその得意とする心の位置で脉を診ているわけです。

どのような視点を術者が持っているにせよ、今見えているその脉に、その人の全身状態がどのように表現されているのだろうか、という探求心を持って見ていくことが大切です。そのことによって始めて見え方が広がり、同じ脉を診ていても新しい発見を得ることができるのですから。
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