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一元流鍼灸術

一元流鍼灸術の解説◇東洋医学の蘊奥など◇HP:http://www.1gen.jp/

養生の医学


東洋医学はもともとその特徴として、未病を治す医学であり、養生の医学であるといわれてきました。そもそも死から逃れることのできない「人」の生にとって、養生とは一体なんなのでしょうか。

養生という言葉を、よりよく生きるという言葉に代えてみると、その実態がより鮮明になっていきます。よりよく生きるという言葉の中には、他者との関係が含まれてくるからです。人が生きるということの中には実は、個人の生だけではない、より大きな「関係性としての生」が隠されています。

人は関係性の中で生きています。ただひとりで生きているわけではありません。そこには、他者との共感を通じた「関係性としての生」の空間が、強弱や広がりはさておき存在しています。この関係性の中で初めて、養生という言葉が生きてきます。個として生きているわけではないからこそ、自分の身を修め、よりよく生きる意志が生まれます。関係性の中で生きているからこそ、「よりよく生きる」という言葉の中に「よりよく死ぬ」という言葉が包含されてくることになります。

「関係性としての生」に目覚めることによって始めて、我々は、現代西洋思想の個人主義を脱却することができます。


東洋医学を生命の学として学んできた私は、養生とは、生命状態を少しでも向上させることであるということを理解しています。養生の果てに存在する場所がなくなったさまざまな疾病は、消えていきます。東洋医学における治病とは、このような機序で起こるものです。

ですから、治療の目標は疾病治療ではありません。治療の目標はこの生命を少しでもバランスのとれた方に向かわせることです。そして、今の生命力に従って人は、その人生をまっとうしていきます。治療家は、患者さんのその生命力が少しでもより活力を持てるようになるよう、お手伝いをしているわけです。
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