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一元流鍼灸術

一元流鍼灸術の解説◇東洋医学の蘊奥など◇HP:http://www.1gen.jp/

■胃の気の脈診『図解/簡明鍼灸脈診法』4/5
■北辰会における四種の弦急脈



言語化すると、それが存在すると思い 、それを探し始めてしまいます。東洋医
学の歴史はその積み重ねとなっています。真偽を見分けることの難しい、繊細な
手作業をおこなう治療家に植え付けられた信仰、ともこれは言えます。

また、見ることと言語化することの間には、大きな隔たりがあります。実際に見
ている指先の風景を言語化していくわけですから、そこには大きく深い問題が横
たわっているということが理解されなければなりません。

・指尖の感覚は個人個人で異なる。感覚とは何でしょうか。
・指尖の敏感さや鈍感さは個人個人で、体調によっても異なる。
・とらえたものを表現することのできる、表現力は個人個人で異なる。
・とらえようとする方向によって、表現できるおおもとのとらえ方が異なる。
・指尖の風景の中から、何を取り出そうとしているのか、そこが問題。
・「自分が正しい」と断ずると、自分以外のものが見えなくなる。

思いつくまま簡単に挙げてみても、これだけ多くの課題があります。
「見る、そしてそれを表現する」ということは、たいへんな事なのです。

しかし藤本氏は、その危険を知ってか知らずか、やすやすと乗り越えて、胃の気
が欠けているとした脈状を四脈に分けて解説し始めます。

四種の弦急脈の実際の記述は、以下のとおりです。
49ページから掲げられています。

第一脈・弦急脈:「和緩と滑利がなく、硬く引きつった感じで、ギシギシと指に
触れる。」「硬く緊張した脈であり、力の有無は一応関係ない」(49p)

第二脈(枯脈):「第一脈のように、引きつったり著しく堅くはないが、潤いが
なく、しなやかさや、和緩に乏しく、ちょうど、ひからびた餅の表面に触れた感
じでカサカサしている。」「この脈は、弦脈と重なることも多く、この場合は
「枯弦」と呼称する。

第三脈(細急脈)「一定の緩滑の脈状の中に、一筋の細い芯のある弦脈を打つも
の」

第四脈(緩不足、滑不足)

ここで4種類に分けられている、藤本氏が述べる弦急脈は、「弱以滑」と分けら
れた「弦急脈という概念」ではなく、実際に脈に触れた指尖の触覚に基づくもの
のようです。



■弦急脈は邪気か?敵するものなのか?


胃の気の脈状について以前、藤本氏は「胃の気をこそ土台にして諸々の情報が、
脈状に現われる」と解説していましたが、ここではその、土台である胃の気の脈
状が、「欠けている!」ものも存在するとしているわけです。

はて。藤本氏は自身の言葉で、「諸々の脈状に弱以滑の脈象の存在することが、
平人であり、これに反するものは、すべて弦急の脈、と解した」(49p)と述べ
ています。そのうえでその弦急脈を四種類に分類しているわけです。

さらに藤本氏は、同じページで、この4つに類型された「弦急脈をかみ分け触知
できれば、本書での核心部分「胃の気の脈診」が全うされる。実に、弦急脈を把
握することに全力をかたむけねばならない。弦急脈とは、先にも述べたように、
要するに「弱以滑」を含まない脈状、脈形を指す。」としているわけです。ここ
に、冒頭で自身が述べていた「胃の気をこそ土台にして諸々の情報が、脈状に現
われる」という、老子的な「胃の気の脈診法」の生命観を、自身の言葉で裏切っ
ているわけです。弦急脈を語るときにはこの、脈状を表現する土台―胃の気が消
えるというのでしょうか。


ここにおいて私は、一元流鍼灸術で話している「胃の気の脈診」と、上段で定義
づけられている北辰会における「胃の気の脈診」とは、まったく異なるものであ
ると言わなければなりません。一元流鍼灸術で述べている「胃の気の脈診」はま
さに、気一元の生命力の流れの変化をありのままにとらえ表現することを基礎と
した、老子的な「胃の気の脈診」だったわけです。

伴 尚志
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