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一元流鍼灸術

一元流鍼灸術の解説◇東洋医学の蘊奥など◇HP:http://www.1gen.jp/

水火木金土考


水火木金土。この順番が何を意味するのかということは、古典を少しかじった方であれば自明のことです。すなわち母の胎内で胎児が養われていく順番を指し示しています。

水というのはすなわち腎であり、火というのはすなわち心であり、木というのはすなわち肝であり、金というのはすなわち肺であり、土というのはすなわち脾です。

水火木金土、この順番に五臓が作られていくと古人は考えたのだと、古典解釈者は考え、そこで思考停止するところです。またあるいは、頭を腎として次に心臓が明瞭となり、肝肺脾と続くのかも、というレントゲン的な解釈もなされたりします。

がしかしここでは、少し抽象的概念的に考えていきます。すなわち五臓の生成陰陽論版です。

水火というのは腎と心です。腎は先天の精がここに舎るものであり、心は君火で先天の神がここに舎るものです。また、心は火であり腎は水です。これは存在するものの金型(大枠:天地)を構成するもっとも大きな単位であると考えられます。人身における地の始まりが腎であり天の始まりが神であると。このように考えるならば、この腎と心とは人身の大枠を決定づけるものとしてともに先天と定めることができるでしょう。

木は、天地を繋ぐものです。大いなる天に枝葉を伸ばし、大いなる地に根茎を伸ばします。生命の有様そのもの、生きるということ存在するということに意味を与えるものそのものこそがこの木にあります。先天に支えられてこの木が次に出てくるとことは非常に興味深いことであると思いませんか。

そして次に出てくるものが、肺と脾です。肺は天空の気を取り入れて吐き出すことによって気を養い、脾は地中の物を取り入れて血を養います。ともに生命活動の継続がここにおいて保証されるわけですけれども、肺脾そのものは心腎があって初めてその活動をなし得るわけですから、これを後天と名づけることができるでしょう。

水火木金土。水火という先天と肺脾という後天、これを横に繋ぐものとして木がありまた、水と火という位、肺と脾という位、これを縦に繋ぐものとして木がある、そんな立体的な構造としてこの水火木金土が見えてくるでしょう。

肝木を中心とした生命観というのは、一元流鍼灸術においてキーワードになっていますけれども、ここにまたひとつ、ユニークな視点を得ることができるわけです。
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コメント

水火木金土孝


はじめまして。
愛知県の鍼灸師です。

伏義の河図。生数水火木金土は無形の気が発生する順序ですね、
天一水を生じ、地二火を生じ、天三木を生じ、地四金を生じ、天五土を生じとなり、それぞれに五の数を足して臓腑の陰陽ができる。

成数金木水火土は、有形の気となり肉体組織ができる順番。

いつも分かりやすい解説ありがとうございます。大変 参考になります。

また、お邪魔します。





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