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一元流鍼灸術

一元流鍼灸術の解説◇東洋医学の蘊奥など◇HP:http://www.1gen.jp/

東洋医学に期待すること


ブログの読者から、東洋医学に期待することは何かという質問をいただきました。

つらつらと考え続けています。

東洋医学に期待することという質問を受けてもどこかぴんとこない理由は、東洋医学というものの定義が何なのかよく理解できないためです。言葉を換えると、何を以て東洋医学と称しているのかということがどうもよくわからないのです。

当たり前のことですが、人類の歴史が始まって以来ずっと、人と人とは関わり合いを持ってきました。その関わり合いの中で言葉が生まれるのと同じように触れ合い癒し合うことが行われたことでしょう。ここに西洋も東洋も区別はありません。

近代500年ほどの間、キリスト教の狂気に指導された白人たちは、地球制覇に乗り出し多くの民族を根こそぎ殺戮し多くの文明を破壊してきました。そして自身の暴力的で身勝手な文明を、近代文明として他の世界に押しつけてきたわけです。いわばキリスト教の愛の下、暴力で支配する世界秩序を作り上げてきた歴史があり、その脅威を西洋という名に置き換えて今に至ります。

ただ、大東亜戦争における日本を中心とした諸国民の果敢な抵抗によって、西洋文明の残虐さ未熟さが表面化し、皮膚の色による差別が道徳に反することとされるようになりました。そして、植民地を作りそこを搾取することによって自国を繁栄させるという経済構造が改められることとなりました。これを自由経済の勝利と呼ぶこともできます。その恩恵を最大限に受けて発展し豊かになった国が日本であることは言を俟ちません。

その西洋がもたらした医学は、人を物が集合してできている器械として把え、病気を敵として捉えて撲滅を図り、症状が発するということを忌み嫌い、検査結果が平均値にあることを目標として生命の平準化を図るという幼稚な人間観に立ったものです。ただこれが基本的な生命力が充実している軍人の戦傷などに著効があったことなどから、国家の援助を受けてその他の疾病にも応用されて現在に至っています。いまや薬や医療器具と共に西洋医学複合体として日本を支配しているように見えます。これはいわば、人の生命力は基本的に充実しているものであるとして、それを前提としてその生命力の上に立ってつぎはぎの治療をしている医学であるとも言えます。抗生物質と点滴を用いた外科手術にその手腕をよく発揮し、死と病を敵とする発想にその特徴があります。

これに対して日本の東洋医学は、国家の存亡のために富国強兵を強いられるという政治経済情勢の下、救急医学の座を西洋医学に明け渡すとともに西洋医学が受けたような国家の保護も受けることはありませんでした。そのように非常に不利な政治経済情勢の中でことに慢性病における治効を争う漢方家や、民間療法の一端としてマニアックな支持者に支えられて東洋医学は気息奄々ながらも生き延びることとなりました。


東洋医学はその内部における論理崩壊によって、存亡の危機に立たされていると私は考えています。伝承されてきた民間療法が東洋医学ではありません。伝承されてきた鍼灸を使った経穴療法がそのまま東洋医学であるわけではありません。陰陽五行を語れば東洋医学になるわけではありませんし、天人が対応していると考えるから東洋医学なのではありません。東洋医学と呼ばれる何ものかを誰か築こうとしているのでしょうか?

ですから、私が、「東洋医学に期待すること」と問われた時に返すことのできる言葉としてまずあるのは、まずは東洋医学をきちんとやってみましょうよ、という言葉になってしまいます。そしてそのためには東洋医学とは何か、東洋の生命観とはいかなるものであるかということを窮める必要があります。なぜなら、その東洋の生命観の上に立っているものこそが東洋医学なのですから。最近このブログにアップしている黄老道関係の記述はこの、東洋の人間観についての歴史を明らかにしようとする作業なのです。
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